建て替えの段取りと注意点注文住宅を知る10の記事

建て替えとは、現状建っている建物を取り壊して、新しく家を建てることです。リフォームは、建物の躯体を活かして増減築したり、間取りを変える手法ですので全くの別物です。

建て替えの方が費用は掛かりますが、高品質で高性能な住宅を新たに建てることができますので、長く安心に暮らすことができます。また、建て替えでは解体費用はかかりますが、土地を買う必要がないので初期費用も抑えられます。

しかし、建て替え工事には通常の新築工事よりも必要な段取りが多くなります。事前に準備をしておかないとバタバタしてしまい、新築の建物の打合せどころではなくなってしまう場合もありますので、ゆとりを持って行動しましょう

建て替えの段取り

建て替え工事で必要な段取りをご紹介します。ここにプラスして通常の新築工事の流れも加わります。

関連記事

マイホームが完成するまでにはいろいろなステップがあります。家のことだけを打ち合わせするだけでなく、銀行からの借り入れや不動産との土地の契約など、やることはさまざまです。 しかし、やることが多いため何から行動していいかわかりにくいのも事実で[…]

これで迷わない!正しい家づくりの流れを解説

お客様自身でやること

①解体業者を決める

お願いする住宅会社が決まったら解体する業者を探しましょう。

住宅会社が提携していたり、いつもお願いしている解体業者がいる場合もありますので、住宅会社に相談するとよいでしょう。事前に見積もりを取って、資金計画に落とし込んでもらってください。

そして、双方合意ができたら契約へ進みます。解体の工事は、建物の契約書と別の契約書で交わされる場合がほとんどです。業者によって手付金が必要になる場合もありますが、一括で解体後に請求されることが多いです。支払い方法も事前に確認しましょう。

②仮住まいの準備

仮住まいとは、解体工事と新居を建築している期間に住む場所です。

ハウスメーカーで建てる場合だと半年近く、工務店ではもっと長い期間住むことになります。エリアや家賃、条件などをしっかりと検討してください。

また、短い期間だと中々貸してくれない賃貸業者もいますので、早い段階から物件探しをしておくとスムーズに解体へ進むことができます。

③解体する建物の片付け

仮住まいが決まったら解体する建物の片付けを終わらせましょう。

家一軒の片付けはかなりの時間がかかりますので、建て替えの建築を計画し始めたら徐々に片付けを始めてください。

まずは新築住宅で使う物、仮住まいで使う物、捨てるものをまずは分けます。新築住宅と仮住まいで使うものは、仮住まい先へ運ぶ必要がありますので引越し業者を手配して運んでもらいます。

次に捨てるものについてですが、解体する建物の中に残しておいていいものと、自分で処分した方がいいものがあります。詳しくは「建て替えをする際の注意点」でご説明します。

住宅会社と相談して決めた解体スケジュールまでに、必ず片付けを終えてください。間に合わないと解体工事はもちろん、その後の着工や建物の完成が大幅に遅れてしまう可能性があります。

④郵送物の転送

仮住まいへの入居日が決まったらそれに合わせて、郵送物の転送届を出しましょう。

転送届を出さなくても、工事現場にポストを置いておけば郵送物は届きます。しかし、配達員に迷惑をかけてしまったり、いちいち郵便物を取りに行かなければならない為、転送届を出すことをおすすめします。

⑤電気・ガス・インターネットの停止

解体する建物の電気・ガス・インターネットなどの契約を解約または停止してください。水道工事に関しては、解体工事や建築工事で使うとこが多いので、業者と指示に従って進めてください。

⑥仮住まいの電気・ガス・水道の契約

仮住まいのライフライン契約もしてください。固定電話がある場合は、仮住まいへ移設することができますので手続きをしましょう。仮住まいが市外になる場合は市外局番が変わってしまいますので、注意してください。

⑦住民票の転居届

仮住まいが市外になる場合は、転居届を提出してください。

提出しないと、その市のサービスが受けられない場合があります。住所変更をすると免許書や保険証などの変更も行わなければならず、かなりの手間がかかりますので、なるべく市内に仮住まいを借りた方が楽です。

ただし、市内に仮住まいを借りる場合でも期間が1年を超える場合は住所変更が必要となりますので、注意が必要です。

住宅会社と一緒にやること

①解体前の申請

解体工事の契約が済んだら、建築リサイクル法の届け出や道路使用許可申請が必要となります。書類は業者が準備してくれますので、お願いされたら速やかに署名・捺印を行ってください。

②解体前立会い

解体を始まる前に必ず現場にて立会いを行ってください。

間に住宅会社が入って見積もりを取った場合だと、認識のすれ違いが起こる場合があります。解体業者・住宅会社・施主の3者立会いを行い、残す木や外構はどれか、また建物内に残しておいて大丈夫な物などを再度確認してください。

また、立会いをした上で見積もりに変更がないかもしっかりと確認しましょう。

③近隣挨拶

解体工事前に近隣にお住まいの方に挨拶をしておくとクレームが起こりにくくなります。

また、解体業者と一緒に回ることで、解体中に何かあれば業者に連絡が入りますので、業者に対応してもらうことができます。新居に住んでからも友好な関係を築けるように、事前に挨拶周りをしておきましょう。

新居が完成したタイミングでもう1度、挨拶に行くとさらに良いです。

④お祓い

新築工事の着工前に地鎮祭をする方は多いと思いますが、解体工事前にはお祓いをしてもらう方もいます。

お祓いは、長い間住んだ家や土地に感謝するとともに、これから行う解体工事の無事や安全を祈願するために行う儀式です。神主さんを呼んで、執り行ってもらうのが一般的です。

お祓いなどは義務ではないので、最近ではやらないという方も増えてきています。

しかし、神棚や仏壇、井戸などには魂が宿ると言われていますので、儀式を行うことが通例です。何かあってからやらなかったことを後悔するのであれば、やっておいた方がいいという考え方もあります。解体する建物に住んでいたご家族の意見も聞いて検討してください。

⑤解体後立会い

解体が終わったら、解体前立会いをした時と同じメンバーで再度立会いをしてください。依頼通りに解体が行われているかを確認した上で、費用の支払いに移るようにしてください。

⑥解体後の滅失登記

滅失登記とは、建物の解体が終わったタイミングで行う登記で、建物の登記を抹消する手続きです。

建物を解体して1ヵ月以内に登記する必要があります。司法書士の先生に頼むと書類を作成して手続きしてくれますので、内容の説明を受けてから書類に署名・捺印をしてください。司法書士は住宅会社や解体業者が紹介してくれます。

新築の建物が完成したら、また新たに建物の登記を行います。

建て替え工事をする際の注意点

建て替えの工事をするときに注意することは2つです。

1つ目は、解体する建物の片付けについてです。

片付けのポイントは、解体業者に処分をお願いする物と、自分で処分する物をしっかりと判断することです。それによって、解体費用が大きく変化します。

まずは解体業者に処分をお願いした方がいい物についてです。木製のタンスや収納棚、鉄製の棚などは建物で使われている資材と一緒に分別できる物ですので、建物内に残しておいても解体費用には大きく影響しません。その為、建物内に残しておいて大丈夫です。

逆に、自分で処分した方がいい物です。

  • 布団や衣類などの布製品
  • 食器などの陶器類
  • 家電

これらの物は、解体業者にお願いすると処分費がかなり高くついてしまいますので、自分で処分した方がいいでしょう。

解体見積もり時に、「建物内に残存物はない状態で見積もります。」と言われたら、布製品や家電などの自分で処分した方がいい物は建物内にない状態という意味です。

この見積もりのまま、衣類などを残してしまうと請求額が高額になりますので注意しましょう。

2つ目の注意点は、建て替えができる土地かを事前に確認することです。

古い家を壊して土地が空いたからと言っても、必ず新しい建物が建てられるとは限りません。

昔は家を建てるための制限が少なかったので様々な条件の土地でも家を建てることができましたが、今は色々な制限があります。建築基準法や都市計画法をクリアできる建物や土地でないと、建て替えができないケースもありますので事前に住宅会社に調査してもらいましょう。

また、建てられる場合でも市街化調整区域の場合は、様々な申請が必要になる場合が多いです。

申請を行うと費用や期間がかかってきます。長い申請だと12年かかることもありますので、トータル的に考えると土地を購入した方がメリットが多い場合もあります。

いずれにせよ早めに住宅業者に相談をして、最善の方法が選択できるように注意しましょう。

おわりに

建て替えには様々な段取りや注意が必要です。うまく進めるコツは、住宅会社や解体業者に細かくスケジュール組みをしてもらうことです。いつまでに何をするかが明確にわかると、それに向けて家族で協力して動くことができます。

段取りよく行動して、すんなりと新築工事に進めるようにしていきましょう。片付けだけは、早めに始めてくださいね!